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東京地方裁判所 昭和32年(ワ)7321号 判決

原告 第一物産株式会社

被告 両洋建設株式会社

主文

一、被告は原告に対し、

(一)  株式会社酒井工作所製造十瓲マカダム型ロードローラー一台、車体番号SWK-SM2-8173の引渡

(二)  金五十六万千百十五円およびこれに対する昭和三十二年九月二十日から完済まで年五分の金員の支払をせよ。

二、原告のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用は五分し、その四を被告、その一を原告の負担とする。

四、この判決は、原告勝訴の部分に限り、金五十万円の担保を供するときは、仮に執行することができる。

事実

原告訴訟代理人は、「被告は原告に対し、主文第一項の(一)に掲げるロードローラー一台の引渡ならびに金七十九万円およびこれに対する昭和三十二年九月二十日から完済まで年五分の金員の支払をせよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決および仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、

一、被告は、もと三陽工業株式会社と称したが、昭和三十二年五月三十一日現在の商号に変更したものである。

二、原告は昭和三十年十一月十八日被告との間に、原告から被告に主文第一項の(一)に掲げるロードローラー一台(以下本件物件という。)を代金百四十五万円で売り渡す、引渡期日は同年十二月五日、代金は内金三十万円を同年十二月末日に、内金九十万円を昭和三十一年三月末日に、残金二十五万円を同年四月末日に、訴外巣鴨信用金庫池袋支店の保証する原告あて被告振出の約束手形を支払うことにより完済する、被告が買主としての債務の履行を一部でも怠つたときは、原告は本件物件を任意に処分してその売得金をもつて被告の原告に対する債務および損害金の弁済に充当し、かつ、催告を要せず契約を解約することができる旨の売買契約を締結し、約定期日に本件物件を被告に引き渡した。

三、しかるに被告は、右代金支払のために約旨に従つた訴外巣鴨信用金庫池袋支店の保証を得た約束手形を振り出さなかつたが、ともかくも代金の内金六十五万円については被告振出の約束手形を支払うことによつて弁済を了したけれども、残金八十万円の支払のために原告にあてて振り出した約束手形二通すなわち(一)昭和三十一年三月二十九日振出にかかる金額六十万円、満期同年六月三十日、支払地および振出地ともに東京都豊島区、支払場所巣鴨信用金庫池袋支店なる約束手形および(二)同年五月一日振出にかかる金額二十万円、満期同年八月三十一日、支払地、振出地および支払場所ともに前同一なる約束手形については、原告がそれぞれ満期に支払場所に呈示したけれども支払を拒絶された。

四、そこで原告は、前記(一)の約束手形の支払を拒絶された後昭和三十一年七月七日付書留内容証明郵便をもつて被告に対し、被告が右(一)の約束手形金に相当する代金の支払を怠つたことを理由に本件物件の売買契約を解除する旨の意思表示を発したところ、翌八日被告に到達した。かくして右売買契約は、被告が買主としての債務の履行を一部でも怠つたときは、原告において催告をすることを要しないで契約を解除し得る旨の前示特約に基き解除されたものというべきであるが、仮に右特約が認められないとしても、前掲書留内容証明郵便は、当時被告が延滞していた代金の支払を催告する趣旨をも含めて発せられたものであるところ、被告は、これを受領した後本件訴状の送達を受けるときまでに相当の期間を経過しながら原告の催告にかかる債務を履行するところがなかつたのであり、本件訴状において、原告は被告が原告の右催告に応じなかつたことを理由として本件物件の売買契約を解除する旨の意思表示をしていることが明らかであり、仮にしからずとしても原告訴訟代理人が、本訴提起後において昭和三十三年三月三日被告訴訟代理人に送達された同年二月二十五日付の準備書面によつて前同様の理由による契約解除の意思表示をしたから、本件物件の売買契約はいずれにせよ既に解除せられたものであることに変りはない。

五、本件物件は、原告の申請により発せられた東京地方裁判所昭和三十一年(ヨ)第三七六〇号仮処分決定の執行により同年七月七日執行吏の占有に付せられたのであるが、この間被告の使用により毀損し、その売買当時の時価すなわち金百四十五万円の四割に相当する金五十八万円の価額を減損したため、原告は右同額の損害を蒙つたばかりでなく、被告は原告から本件物件の引渡を受けた昭和三十年十二月五日から前記仮処分の執行された昭和三十一年七月七日まで二百十五日間本件物件を使用収益したことによりその相当賃料額に当る一日金四千円の割合による金八十六万円相当の金額を不当に利得したのである。

六、そこで原告は被告に対し本件物件の引渡ならびに前示金五十八万円の損害賠償金および金八十六万円の不当利得返還金合計金百四十四万円より被告に返還すべき、被告から受領ずみの代金六十五万円を差し引いた残金七十九万円(右差引計算における充当は、本件物件の売買契約における特約の趣旨に従いまず損害賠償金、ついで不当利得返還金の順序になる。)とこれに対する本件訴状送達の翌日である昭和三十二年九日二十日から完済まで民法に定める年五分の遅延損害金の支払を請求する。

と述べ、

証拠として甲第一号証、第二および第三号証の各一、二、第四から第六号証までを提出し、甲第六号証は訴外境英三の作成にかかるものであると説明し、証人工藤脩、三沢辰彦および境英三の各証言を援用した。

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。」との判決を求め、答弁として、

一、原告主張の請求原因については

(一)  第一項の事実は認める。

(二)  第二項の事実は、代金の支払のために被告が訴外巣鴨信用金庫池袋支店の保証する約束手形を振り出し、その支払をすることにより代金を完済する約定であつたことおよび被告が買主として債務の履行を一部でも怠つた場合につき原告主張のような特約のなされたことを否認するほかすべて認める。

(三)  第三項の事実は、被告が代金支払のために訴外巣鴨信用金庫池袋支店の保証を得た約束手形を振り出さなかつたことが約旨に反するとの点を争うほかすべて認める。

(四)  第四項の事実は、原告主張の書留内容証明郵便が原告主張の日時被告に到達したことのみを認め、その他は争う。

(五)  第五項の事実は、本件物件に対し原告主張のような仮処分の執行がなされたことおよび被告が本件物件を原告主張の期間中使用収益したことは認めるが、その他は否認する。

二、前段(一)において被告が否認した本件物件の売買契約における約定および特約なるものは、原告が被告に対して送付した売約証と題する書面(原告提出の甲第一号証はその控)中に一方的に記載されていたものであつて、被告は原告から右売約証と同趣旨の記載をした買約証を原告に差し入れるべきことを求められたのであるが、前記のような約定および特約をすることは承諾できないとしてこれを拒絶したのである。従つて原告の主張するような前示約定および特約は、本件物件の売買契約においては成立するに至らなかつたものである。

と述べ、

証拠として証人北峰正雄の証言を援用し、甲第一号証、第二および第三号証の各一、二の成立は認めるが、その余の甲号各証の成立は不知と答えた。

理由

一、被告がもと三陽工業株式会社と称したところ、昭和三十二年五月三十一日現在の商号に変更したものであること、昭和三十年十一月十八日原告と被告との間に、原告から被告に本件物件を代金百四十五万円で売り渡す、引渡期日は同年十二月五日、代金は内金三十万円を同年十二月末日に、内金九十万円を昭和三十一年三月末日に、残金二十五万円を同年四月末日に支払うとの売買契約が締結された(訴外巣鴨信用金庫池袋支店の保証する被告振出の約束手形を支払うことにより代金を完済する約定であつたかどうかおよび被告が買主としての債務の履行を一部でも怠つたときには、原告が本件物件を任意に処分してその売得金をもつて被告の原告に対する債務および損害金の弁済に充当し、かつ催告を要せず契約を解除することができるものと特約されていたかどうかは、ここではしばらく論外とする。)こと、本件物件が約定の期日である昭和三十年十二月五日原告から被告に引渡されたこと、被告が前記代金の内金六十五万円を被告振出の約束手形の支払をすることによつて弁済したが、残金八十万円の支払のために被告が原告にあてて振り出した原告主張の金額六十万円および二十万円の約束手形が原告によつてそれぞれ満期に支払場所に呈示されたけれどもその支払が拒絶され、右残代金八十万円が未払であることおよび原告が被告に対して昭和三十一年七月七日付の書留内容証明郵便で、被告において前記約束手形二通のうち金額六十万円の手形金に相当する代金の支払を怠つたことを理由に、被告に債務不履行のあるときは催告を要しないで本件物件の売買契約を解除し得るとの特約に基いて右売買契約を解除する旨の意思表示を発し、その意思表示が翌八日被告に到達したことは、当事者間に争がない。

二、そこで上述の原告から被告に対する書留内容証明郵便による解除の意思表示により本件物件を目的とする原告と被告との間の売買契約が解除されたかどうかについて考えるに、この点に関する原告の主張からして明らかなように、原告は被告が本件物件の売買代金百四十五万円のうちから既に支払ずみの金六十五万円を差し引いた残額金八十万円中金六十万円について、その支払のために振り出した約束手形が満期に呈示されたのに支払われなかつたことにより債務の履行を怠つたとして解除の意思表示をしたのであつて、被告が原告に対して代金の支払のために訴外巣鴨信用金庫池袋支店の保証を得た約束手形を振り出すとの約定に違反したとの点を被告の債務不履行として主張しているものではないので、右売買契約において代金の支払方法に関して原告主張のような約定がなされていたかどうかは、本訴の結論に直接の影響を持つものではないから、この点について論及することは省略し、もつぱら、被告の債務不履行を理由として原告が契約を解除するについてあらかじめその履行の催告をする必要はない旨の特約がなされていたかどうかについて調べてみることとする。

その成立および本件物件に関する売買契約の締結について原告が被告に対して送付した売約証と題する書面の控であることが当事者間に争のない甲第一号証には上掲のような特約条項が印刷により表示されているところ、証人工藤脩の証言によると、原告は被告と本件物件につき売買契約を締結するに際して前記のような売約証二通を作成してそのうちの原本に当るものを、これと同一記載内容の被告から原告あての買約証二通とともに被告に送付し、右買約証の一通に被告が捺印して原告に返送し、残り一通を被告において保管して置くように申し送つたけれども、被告からは買約証の返送はなされなかつたが、さりとて右売約証または買約証記載の条項につき特に異議の申出はなかつたことが、また証人北峰正雄の証言によれば、被告は、原告から書留内容証明郵便により本件物件の売買契約解除の意思表示を受領した後、すなわち昭和三十一年十二月頃にも、昭和三十二年八月頃にも原告に対し未払代金を分割弁済することにより紛争を解決しようとして折衝を試みたことのあることがそれぞれ認められる。証人北峰正雄の証言中被告が原告より送付を受けた買約証の記載に実際の契約内容に反する点があるとして当時原告に異議を申し出たとの趣旨の部分は措信し難く、他に上記認定に反する証拠はない。

叙上認定にかかる各事実を彼此考え合わせるときは、前掲甲第一号証に記載された、被告が本件物件の売買契約に基く買主の債務の履行を一部でも怠つた場合には、原告においてその催告をすることなく契約を解除することができるとの特約条項が右売買契約中に存したものと認めるのが相当である。

してみると本件物件を目的とする原告と被告との間の売買契約は、前叙のとおり原告から被告に対する書留内容証明郵便による解除の意思表示が被告に到達した昭和三十一年七月八日に、被告の代金債務不履行に基き解除されたものといわなければならない。

三、そうだとすれば被告が原告に対し右契約解除の結果として原状回復の義務を負うほか、その債務不履行により原告に蒙らせた損害があるとすれば、これが賠償の責に任ずべきであることは当然である。そこで以下においてこの点に関する原告の主張について判断することとする。

(一)  被告が既に原告から引渡を受けた本件物件を原告に返還すべきものであることは、多言の要のないところである。

(二)  原告の申請により発せられた東京地方裁判所昭和三十一年(ヨ)第三七六〇号仮処分決定の執行により同年七月七日本件物件が執行吏の占有に付せられたことは、当事者間に争がないところ、証人三沢辰彦の証言により真正に成立したものと認める甲第四号証および同証言によると、本件物件は右仮処分の執行当時相当に毀損し、新品のものに比べてその価額の四割を減損していたことが認められる。この認定に反する証人北峰正雄の証言は措信するを得ず、他に右認定を動かすべき証拠はない。ところで当事者間に争のない原告と被告との間の売買契約における本件物件の約定代金百四十五万円は、反証のない限り、当時における本件物件の相当価額に当るものとみるべきであるから、前述の減損価額は計算上金五十八万円となる訳である。

ところで原告は、右減損価額に相当する金五十八万円の支払を被告に対して損害の賠償として請求する旨主張するのであるが、特にその根拠につき何等主張立証するところがない。しかしながら売買契約の解除による原状回復のためにする目的物の返還は、そもそも原状回復が始めから当該売買契約のなかつたと同一の状態に復帰せしめることを目的とするものであることに鑑みれば、売買契約の目的物が毀損されてその価額を減少している場合においては、それが原状回復義務者の責に帰すべき事由によるものであるかどうかにかかわりなく、売買契約に基く引渡当時の価額のものとして、すなわち現物にその減損価額に相当する金額を加えてなされなければならないものと解すべきであるから、原告は本件物件の減損価額に相当する金五十八万円の支払を、被告に対して損害賠償として請求するという法律上の見解にとらわれることなく、被告に対する右金額の請求は契約解除に基く原状回復義務の履行を求めるものとして認容すべきである。

(三)  被告が売買契約に基き原告から本件物件の引渡を受けた昭和三十年十二月五日から本件物件に対し上述のような仮処分の執行がなされた昭和三十一年七月七日まで二百十五日間本件物件を使用収益したことは、当事者間に争がないところ、売買契約の解除によりその目的物を返還すべき原状回復義務を負う者は、その物の使用による利益をも返還しなければならないものと解すべきであり、本件の場合においては、被告が右のごとく二百十五日間本件物件を使用したことによる利益は本件物件の相当賃料額を基準として算定されるべきである。

ところで原告は右の相当賃料額を一日当り金四千円と主張し、これに副う証人境英三の証言が存する(なお、同証言によると甲第六号証は右証言にかかる相当賃料額算出の根拠を示すため同証人の作成したものであり、甲第五号証は右根拠に基いて算出された相当賃料額を記載したものであることが認められる。)けれども、右証言および甲第六号証によつて明らかなとおり、前掲証人が本件物件の一日当りの相当賃料額を金四千円と算定したのは、本件物件の昭和三十二年七月当時における取得価額を金二百万円と見積り、これを計算の主要な基礎としたものであるが、原告が本訴において被告に対して請求する本件物件の使用収益による不当利得は、前述のごとく昭和三十年十二月五日から昭和三十一年七月七日までの間の相当賃料額を基準としているところ、右期間中における本件物件の取得価額が金二百万円であつたことを認め得る何等の証拠はないので、本件物件の取得価格は原告が被告にこれを売り渡した代金額である金百四十五万円を越えないものとみざるを得ないのである。してみると本件物件の相当賃料額が一日当り金四千円であるとする前掲各証拠は、本件についてはにわかに採用し難く(現に証人境英三も本件物件の取得価額の如何によつてその相当賃料額に異同のあるべきことを証言しているのである。)、他にこの点に関する原告の主張を立証し得る資料は存しない。そこで一般取引界における本件物件の一日当りの相当賃料額が金三千円前後であるとの証人北峰正雄の証言によつて、昭和三十年十二月五日から昭和三十一年七月七日まで当時における本件物件の相当賃料額を一日当り金三千円の割合で二百十五日分として合計金六十四万五千円と算定する。

ところで原告は本訴において被告に対して支払を請求する金額から、被告より既に支払を受けた本件物件の売買代金の内金六十五万円を差し引くべきものと主張している(相殺を主張したものと解すべきである。)ところ、民法第五百四十五条の規定によれば契約解除の場合において相手方に対し原状回復を請求する当事者の一方が相手方に返還すべき金銭については、その受領の時からの利息を附することを要するのであり、本件においては、その利率は売買契約が商事売買に当ることの明らかなところから商法に定める年六分によるべきものである。そして証人工藤脩の証言によると、被告から原告に対して本件物件の売買代金の内金六十五万円が支払われた日時は、(イ)金十五万円について昭和三十年十二月十五日、(ロ)金十五万円について昭和三十一年一月中頃、(ハ)金三十万円について同年三月末または四月一日、(ニ)金五万円について同年六月であつたことが認められ、この認定を左右する証拠はないが、右(ロ)から(ニ)までの支払については具体的な日を確定するに由がないので、(ロ)については支払のなされた月の翌月の初日すなわち昭和三十一年二月一日から、(ハ)については同年四月一日から、(ニ)については(ロ)の場合と同様に同年七月一日から以後における年六分の利息を計算するほかない。

ところで原告が被告から受領した売買代金の内金六十五万円を受働債権として相殺をもつて対抗する自働債権すなわち前出(二)に判示した金五十八万円および同じく(三)に判示した金六十四万五千円以上合計金百二十二万五千円の不当利得返還債権は、本件物件の売買契約が昭和三十一年七月八日に解除されたと同時に成立し、直ちにその履行期が到来したものとみるべきであるから、右受働及び自働両債権は昭和三十一年七月八日に相殺適状に達したものというべきである。そこで前掲(イ)から(ニ)までの各金額に対するその支払期日から右相殺適状発生までの間における年六分の利息を計算すると、(イ)の金十五万円に対するものは六ケ月二十三日分で金五千七十五円(二十三日分は一月分金七百五十円の三十分の二十三として計算)、(ロ)の金十五万円に対するものは五ケ月七日分で金三千九百十八円(七日分は一月分金七百五十円の三十一分の七として銭位を切り捨てて計算)、(ハ)の金三十万円に対するものは三月七日分で金四千八百三十六円(七日分は一ケ月分金千五百円の三十一分の七として銭位を切り捨てて計算)、(ニ)の金五万円に対するものは七日分として金五十六円(一ケ月分金二百五十円の三十一分の七として銭位を切り捨てて計算)となるので、叙上(イ)から(ニ)までの元利金の総計額は金六十六万三千八百八十五円となる。これを上述の原告の被告に対する不当利得返還債権の金額である金百二十二万五千円から控除すると金五十六万千百十五円が残る訳である。

そうだとすると原告の本訴請求は、本件物件を目的とする売買契約の解除に基く原状回復のために、被告に対し本件物件の引渡ならびに前示金五十六万千百十五円およびこれに対するその履行期の後で本件訴状送達の翌日であることが記録に徴して明らかである昭和三十二年九月二十日から完済まで商法所定の年六分の範囲内である年五分の遅延損害金の支払を求める限度において理由がありこれを認容すべきであるけれども、それ以外は失当として棄却すべきである。

四、よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条および第九十二条を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 桑原正憲)

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